ゆびのままに

音のない世界も、光のない世界も、まったく想像できない。
耳も目も、どんなに小さな音やかすかな光でもとらえようとする。
耳を塞いでも音は聞こえるし、目を瞑っても光は0にはならない。
何も聞こえない、何も見えない世界とは、どんなものだろう。
それは、今自分が感じる世界よりも素敵なのだろうか、見劣りするものなのだろうか。
僕の用いるこの尺度も、最初から備わっているものではなくて、生まれてから今までに吸収してきたものの積み重ねがそれを作っている。
僕が良いと思ったものに全く価値を見いだせない人もいるし、誰かが手放せないものを躊躇なく捨ててしまうこともできるだろう。
僕が良いと思った誰かの性格や性質は、実はその人にとってはお荷物やコンプレックス以外の何物でもないのかもしれない。
どうしてこんなにも違うのだろう。
好意が好意を呼べば良いのに、そんなにうまくいくことの方が少ないような気にもなる。
うまくいかないことばかりですね。