アスリートと研究者

アスリート*1と研究者は、似ているところがあるんじゃないかと思う。


アスリートはかっこいいから、憧れるんじゃないだろうか、なりたいと思うんじゃないだろうか。
それと同じように、何故研究者かと聞けば、かっこいいから、と答える人もいると思う。


研究者、かっこいいじゃない。
プロの数学者、プロの物理学者。
普通の人ができないことを考える、発見する。
普通の人ができないことをしているという意味で、アスリートとどこが違おうか。


どうしてスポーツには関心を持てるのに、学問には関心を持てないのかな。
スポーツみたいに勝ち負けがはっきりしていないからだろうか。
それにしたって、たとえばスーパーコンピューターのその時点で最も速いものをどこが一番に作るかだとか、病気の原因となる遺伝子やら何やらを最初に見つけるかどうかなんてのは、勝ち負けの世界に近いものがあると思う。
学問は勝負の世界じゃないかもしれないけれど、オリジナルの成果を得るためには、一番でなきゃいけない、他の人に勝たなきゃいけない。


勝ち負けが決まるのに時間がかかるからだろうか。
しかし一時に多くの研究がなされていて、少なくとも1日に一つくらい*2は新しい成果が出ているんじゃないだろうか。


華やかさがないから?
それは仕方ないように思えるけれど、それだって、当の研究者は、結果を素晴らしいもの、美しいものだと思っているのではないだろうか。
ならば、素晴らしいと、美しいと思えないのは、それぞれの学問に対する基礎知識(こういうのをリテラシーとか言うのだろうか、科学リテラシー?)が足りないからだ、と思う。
スポーツだって、観戦するのに多少なりとルールは知らないと面白くないだろう。
学問だって変わらない。
ただ、基礎知識を理解するのは、はるかに難しいかもしれない。
しかし、研究するためでなく、結果を鑑賞するための基礎知識なら、いくらか理解しやすいものを考えられるのではないだろうか。
それが誰の仕事か、報道者の仕事か、研究者の仕事かは、自分には分からないけれど、一般人でも研究の成果を味わえるような、基礎知識や成果のすごいところなどを伝えていくことを、しなければならないのだと思う。
面白くなければ、研究対象になんてならない。
その面白さは、一般人には少しも伝わらないものなのだろうか。
そして社会としても、もう少し諸科学に対する基礎知識をつけるべきだと思うのだけれど。
科学技術の恩恵を受けるだけで良いのだろうか。
科学に関して、しようと思えば家でも議論できるような社会になれば、それは素敵なことだと思う。



アスリート、野球選手やサッカー選手、ゴルフ選手なんかが、一年間に何億と収入を得ているのを見ても特に違和感を感じないのに、数学や物理の研究に一年間に300万程度*3の費用がかかっているのを知って、税金の無駄遣いだと思う人がどれくらいいることだろうか。
アスリートの収入は、観戦料などが充てられる、つまり観客などから払われ、研究費は国から払われる*4、つまり税金が使われているという違いが原因なのだろうか。
しかし、アスリートの活動は直接還元されないけれど、研究者の活動は、科学技術として還元されることが、税金への対価となっているのではないだろうか。




長い独り言だった。
アスリートと研究者は、見る角度によって似ている部分が多くあるんじゃないかと思って書き始めたのだけれど、思ったことをつらつらと書いているうちに長くなってしまった。
なんとなく、アスリートは許容され、研究者は許容されないような、そんな空気があるような気がして、研究者もアスリートと変わらない部分があるということが言いたかった。
まぁ、思いついて1時間くらいでざっと書いたから、つっこみどころなんていくらでもあるのだろうけれど。
特に研究費として科研費のことしか考えてないし。
あと、全て、〜ではないだろうか、などと確証を持った言葉でないのも悪いとは思っている。


もっと、研究者がかっこいいものだっていうことをアピールしていっても良いんじゃないかなと思う。
社会全体から認められていなければ、研究者は居場所がなくなっていくんじゃないだろうか。
諸外国に研究者がいるから、自国はその恩恵だけを受けていれば良いというのは、使われる者、従属する者の考え方なんじゃないだろうか。
支配する側になれと言うわけではないけれど、独立していたいと思う。

*1:ここではプロのスポーツ選手という意味で使用

*2:明確な証拠なし、雑誌の年間発行数とか調べればいいのかな・・・

*3:数物科学系の平成21年度の科研費一件当たりの平均額で、http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/index.html科研費データ「科研費の配分状況」を参照しました

*4:科研費文部科学省日本学術振興会が交付するので、一概に国からとは言えないけれど