ヒア・カムズ・ザ・サン/有川浩

ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)

ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)

久しぶりの有川浩
甘さ控え目、爽やかな風味、みたいな、そんな感じだった。
最初に書かれた話の方が、登場人物は魅力的だったけれど、パラレルも含めてどちらも面白かった。
作家は感情が異常に豊か、であるらしいけれど、自分は異常に貧しいんじゃないのかな、という気がした。

シャノンの情報理論入門/高岡詠子

シャノンの情報理論入門 (ブルーバックス)

シャノンの情報理論入門 (ブルーバックス)

情報理論勉強のための足がかりとして。
シャノンの情報理論の中で、情報源符号化定理と通信路符号化定理の解説を中心に、情報量や情報エントロピーに始まる用語の説明、という内容の本。
全体的に平易な解説で、語り口もブルーバックスらしいもので、それなりに読みやすいと思う。
ただ、こちらは初学者であるのにも関わらず、所々説明がおかしいと感じるところがあったのが残念。
わりと入念に読んだのに、情報エントロピーと情報の送られる速度の関係が、何を言いたいのかよく分からなかった。
相互情報量の説明も、読み進める中で言いたいことは分かったけれど、定義のところで説明がおかしいと思う。
自分はその辺りを専門書で補おうと思っているから良いけれど、情報理論に興味を持っているけれど専門書はちょっと、という人には不親切ではないかなと思った。
個人的には、さっくり全体像を掴むことが出来たから、説明から受ける不快感以上に得られたものは大きい。

現代日本の政策体系 ー政策の模倣から創造へ/飯尾潤

かなり読み応えのある本だった。
細部まで理解できているところは少ないけれど、まず一度、今の時点で読むことができて良かったと思う。
政党を軸に話が進んでいて、そもそも政党にどれだけの力があるのかに懐疑的だったのだけれど、最後の最後でそれに対する答えをもらった気がする。
ここで期待されている「政党」が実現される日が来たら、それはとても理想的だなと、そう思う。

きみを守るためにぼくは夢をみる I/白倉由美

話、設定としては面白かったし、導入から展開の部分での初恋の描き方は、自分には新鮮だったけれど、最後に向かうにつれ、表現の稚拙さが目立ってた気がする。
夏目漱石リスペクトと思われる一節もあったけれど、それも自分には良くは映らなかった。

霞ヶ関構造改革・プロジェクトK

霞ヶ関構造改革・プロジェクトK

霞ヶ関構造改革・プロジェクトK

繰り返しの記述がとても多くて読みにくかった、という印象が強い。
現状の分析、問題点の洗い出しの部分を読んで、現状のままでは職業としての魅力はかなり薄いのかなという風に思う。
既存の組織との整合性とか法令がなんとかとか、ちょっとよく分からない論理もあったけれど、とりあえず今の組織のままでは無駄が出てくるのは避けられないのかなという感じ。
タクシー券で(当時)数十億もの予算が使われていた、というのは衝撃的だ。

刻まれない明日/三崎亜記

刻まれない明日 (祥伝社文庫)

刻まれない明日 (祥伝社文庫)

ある日突然三千人を越える人が姿を消すも、彼らがその後も変わらずに生活しているという片鱗が伺える町での物語。
突拍子もない、と言えるような設定なのに、無理なく人の繋がりを描くお話としてまとめられ、不自然さを感じさせない。
それが三崎亜記の魅力であるように思う。
面白かった。
公式ガイドブックみたいなのが欲しい。
「失われた町」というのもあるらしく、是非そのうち読みたい。

情報病 ーなぜ若者は欲望を喪失したのか?/三浦展、原田曜平

副題を見落としていて、情報通信技術とかと関係ありそうな話題かと思っていたら全然違ってびっくりした。
決め付けてかかっているように感じられる部分が何カ所もあって、少し読むのが辛かった。
対談形式なのに、会話になっていないうなところもあった。

第二章で書かれた消費に対する意識部分はなるほどと思わせられたけれど、他は読むに値しない内容だと思った。