武器としての決断思考/瀧本哲史

武器としての決断思考 (星海社新書)

武器としての決断思考 (星海社新書)

ディベート的思考法による意思決定の方法について。


ディベートの方法論についての説明を通して、個人でも意思決定ができるようにするための方法を説明している。
今まで、ディベートとは何か、どのようにやるべきかということを、少しは分かっているつもりだったのだけれど、この本を読んで全く分かっていなかったということに気付かされた。


・議論とは何か
・議題の決め方
・メリット、デメリットの見つけ方
・反論の仕方
・正しさとは何か
(それぞれ大体1~5章に対応)
特にこれらのことについて、具体的な例を交えながらの説明がされている。
大事な点については、枠で囲んだり太字にすることによって強調されているので分かりやすいと思うし、実際に準備をする際に必要な図の描き方も具体例を挙げながら説明されているので、自分の問題に当てはめながら同じようなものを描くことが容易であると思う。


ただ、太字になっていないところにも大事だと思われることがいくつかあったし、余裕があるのならちゃんと全部読むのが良いんだろうね。
総合して、読んで良かったと言える本。
この本にしか書いてない、ということはあまりないかもしれないけれど、議論・反論に対する考え方や、正しさの捉え方について、常識になって欲しいと思うけどあまり浸透してないように感じることを、するべきだと書いてあったことに特に好感を覚えた。
この本でなくても良いけど、これに書いてあるような内容は全ての人が分かっていて欲しいと思う。
20代に読みたい本、と帯にあるけど、高校生くらいでも読める人は読めるだろうし、どんどん読んで欲しい。


途中で本の読み方について触れているところがあったのだけれど、そこで推奨されている読み方は、まさに数学書を読む時のそれで、そういうところから、数学をやってきた人の論理的思考能力とやらの成長が生まれるのかね、などと感じた。
全体として数学をやる上でやっていることと関連することが多くて、数学科出身者をもっと社会にとって有用な人材にすることもできるんじゃないかなとも感じた。
数学のそれとこの本に書いてあるそれとのギャップは、同じ対象の異なる表現のようなもので、本質となる部分まで一度持ち上げてしまえば、わりと楽に移行出来そうだと思うのだけどね。