犬はどこだ/米澤穂信

犬はどこだ (創元推理文庫)

犬はどこだ (創元推理文庫)

犬はどこなんでしょうねぇ。
やっぱり、相変わらず、米澤穂信は面白い。
訳アリで仕事を辞めて、犬探し専門のつもりで調査事務所を開業したのに、犬探しもしないうちに、二つも犬探しでない依頼が入ってきて、二人の所員が別々に調査していくうちに、読んでる側にはそのつながりが少しずつ明らかにされていって、最終的に一つ、になるわけでもないけれど、二つの依頼が実は切れない関係にあることが分かっていく。
最後の最後でどんでん返し、まさに

そして、それが嘘だと確信した瞬間、陰画は陽画に転化した。(米澤穂信「犬はどこだ」p.333)

の如く転化したと感じさせられたのは、ちょっと乗せられ過ぎだろうか。
意外な、そしてゾッとする結末。そして最後に残る不安感。
米澤穂信に共通しているように思うこの辺のところが好きなんだろうな。
解説でも指摘されてるけど、いろんな文体があるのも目新しく、面白いと思わせられる一面かもしれない。