ひとめあなたに・・・/新井素子

ひとめあなたに… (角川文庫)

ひとめあなたに… (角川文庫)

たまには違ったものも読んだらと進められて読んでみた。
冒頭からの語り口で、思わず出版された年を確認して、これが昭和か、と思った。別に、そういうわけでもないのだろうけれど。
とにかくどこまでも口語調。
やたらに三点リーダが使われていて、不安感というか、不安定感がよく現れているような気がする。
「うふっ」なんて使われている小説は初めて読んだかもしれない。とにかく語り口に強い印象があって、ふわふわした感じなんだけれど、でもその語り口で語られる内容が、それなりに凄惨だったりする。
そのギャップも味わうべきところなのかな。
読み始めてすぐにすごく違和感を感じたけれど、それでも結局最後まで読んでしまったし、それなりに面白かった。