ひつじが丘/三浦綾子
- 作者: 三浦綾子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1980/09/10
- メディア: 文庫
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傑作って、こういう本のことを言うのかと、そんなことを考えるのもたぶん初めてだ。
良一、竹山の心の葛藤が描かれている部分が特に良いと思う。
「愛=ゆるす、ゆるしつづける」という図式が通っている所も良かった。
終盤、良一の行動を許せず函館を飛び出してきた奈緒美に、良一をゆるすよう諭した、奈緒美の父親の言葉がすごく印象に残った。
「奈緒美。人間同士というものはね、憎み合うように生まれついているんだ。お互いをうらぎるようにできているんだな。どんな誠実な人間だって、心の底では幾度人をうらぎっているかわからない」(三浦綾子「ひつじが丘」p.223)