コロヨシ!!/三崎亜記

「掃除」という架空のスポーツを作り出してしまったところが面白そうだと思い、実際に面白く描かれていた。
長物を使って塵芥を操る。
イメージはあのT字型の自在ぼうき(だったっけ)を振り回し、埃を舞い上げて一箇所に集める、そんな感じで良いんだと思うんだけど、これがスポーツになるんだな、と。
そしてこの「掃除」というスポーツは華やかでもあるらしい。著者のイメージしたものがどんなものか、映像とかで見てみたい、という気持ちにもなる。
中身としては、架空ではあるけれども、スポーツに打ち込む高校生を描いていて、競技に依らず普遍な部分と、競技特有の部分とがしっかり書かれていて、王道っぽいな、と思った。解説を読んで知ったのだけれど、「スポーツ小説」というジャンルがあるのね。
架空であるはずの「掃除」が実際にあるかのように読めたし、面白かったのだけれど、高校生が軸になった時のその周辺の大人、両親・顧問・協力者(西原先輩や日登美さん)あたりの果たす役割というのがはっきりしないし、こんなんで良いのかなって気になった。もやっとした。
伏線のようなものは次から次に出てくるし、話はどんどん大きくなってくしで、収拾がつくのかと思っていたら、なるほどそこで止めるのか、と、続編がありますとでも主張するような部分で物語が終わってしまう。
ネットでちらと見ると、続編の話もあるみたいで、これはどうなるのか本当に楽しみ。
回収の仕方にもよるのだろうけれど、サイドストーリー的なものがいくつもできそうだなと、そんな風に思った。


なんだか、ずいぶん偉そうに長々と書いてしまったけれど、なんかそれだけ期待をたくさんもたせられるおはなしだった。