上のエントリに関しての全く厳密でない補足

他に何かをあたったわけでなく、上の本を読んだだけの知識で、さらにとてもおおざっぱに書くので、怪しいところがいくつもあると思うけれど、書きます。

ポアンカレ予想とは

とても長いロープを取り出して、片方を地上のどこかに結びつける。
そしてもう片方を宇宙ロケットに結びつけて、ロケットに自由に宇宙を旅させる。
帰ってきたロケットのロープをもう片方と同じところに結ぶ。
がんばってそのロープを手繰り寄せる。
ロケットがどんな航路を取っていたとしても、そのロープが全て回収できるのなら、宇宙は(四次元の中の)球と同じ形だと言える。
こんな感じ。


四次元の球はイメージできないので、三次元の球、つまり日常で言う球(地球とかテニスボールとかそういうもの)の場合はどうなるかというと。
地球の場合で考える。
たとえば自分の家にロープの片方を結びつけ、もう片方をヘリでも飛行機でもなんでもいいから結んで、自由に地球上を旅させる。
帰ってきたら、やはりロープを家に結びつけ、後はロープを手繰り寄せる。
どんな航路をとっていてもロープが回収できるのなら、地球は球と同じ形だと言える。
あ、建物にひっかかる、というのは考えません。
地球規模で考えれば無視できると考えてください。
まあ、地球は丸いということはよく知られているので何をいまさら、という感じかもしれません。
この場合球が最もイメージしやすいと思われるだけで、別に丸くなくても良いんです、穴さえなければ。


ドーナツと丸いお皿の間で特にどこが違うかと言われれば、穴があるかないかですよね。
ポアンカレ予想で言っているのは、テニスボール上でロープがうんぬんの話を繰り返すとどこにもひっかからないけれど、ドーナツの場合ではひっかかってしまう、そんな感じのことを言っています。
ひっかかる=穴があるという考え方。
ドーナツの場合、真ん中の穴を通すようにひもを結ぶと、どう頑張ってもそのひもをドーナツから外すことはできませんよね、そんな感じ。


で、結局ポアンカレ予想で言っていることを宇宙の話に適用すると、ロケットに宇宙旅行をさせてロープを手繰り寄せ、どんな時も回収できるなら、宇宙に穴はない、そんな感じのことを言っています。


ほんとのポアンカレ予想はというと、別に宇宙がどうとかという話ではなくて、図形の上にいろんな円を考えて、その円の半径をどんどん小さくしていって、最終的にへんなとこを通らずに半径を0にできる、つまり一点にできるのなら、その図形に穴はないと、そんな感じです。
穴というか、特異点、ですかね。
考えていた関数の値が発散しちゃったりなんだりとかで定義できないとか、そういうちょっと周りとは違った振る舞いをする点。
このどんな円を考えても一点に縮むという性質を単連結とか言ったりします。


ポアンカレ予想についてはこんな感じ。

ペレルマンの証明したもの

次に、ペレルマンの証明したこと。
ペレルマンは直接ポアンカレ予想を示したわけじゃないそうで。


ポアンカレ予想を直接証明しようと多くの数学者が挫折していく中で、サーストンという数学者が逆の考え方を打ち出しました。
宇宙にロープを飛ばしてどうしよう、ではなく、宇宙がどんな形を取りうるかに注目しました。
そしてその答えを予想したのが幾何化予想。
幾何化予想を証明することで、ポアンカレ予想が証明できるということでした。


この幾何化予想を証明するためのプログラムを他の数学者が作り、その中で未解決であった問題をペレルマンが解決しました。
そのため幾何化予想が証明されることになり、それに従いポアンカレ予想が解決した、ということになったので、ペレルマンポアンカレ予想を解決したのだということになります。

幾何化予想

では幾何化予想とはどんなものなのかについて簡単に。


宇宙がどんな形を取りうるかについての予想です。
サーストンは、たとえどんな形であっても、最大で八種類の形の組み合わせにより宇宙の形を表現できる、と予想しました。
本文でのたとえを借りますと、万華鏡ってありますよね。
あれはあらかじめ決められた形のビーズ等々が入っているんですが、それが組み合わさり不思議な図形を見ることができます。
それと同じように、宇宙も分解してみれば最大で八種類の形が組み合わさっているのだろう、ということです。
万華鏡の中に入っているビーズは八種類しかないよ、ということですね。


その八種類の図形は、一つは球で、後の七種類はどれも穴のあいた図形です。


ポアンカレ予想をもう一度思い出しましょう。
宇宙にロープを適当に広げて、両端を地球(じゃなくてもいいのだけれど)の一点で結び、ロープをそこで全て回収できれば、宇宙は球と同じ形である、というものでした。
なぜこの幾何化予想がポアンカレ予想の解決を導くのでしょうか。
ロープの話をした時、ロープが全て回収できるのは穴のない場合でした。
そして幾何化予想が正しく、なおかつロープが全て回収できる、すなわち穴がないのなら、宇宙は(四次元の中の)球のみによってできている、つまり宇宙は球と同じ形をしている、ということが分かります。




以上、なんとなくタイプが進んだので一気に書いてみました。
いくつか説明を省略していて、特に同じ形をしているとはどういうことなのかについて説明してないのが少し問題がある気がしますが、あくまでこんな感じ、ということで。
間違っている部分が見つかったら、こいつ馬鹿だなとでも思いながら眺めてやってください。
その際指摘を頂けると嬉しいです。