寒サニ負ケル

身体の芯から体温を奪っていくような、そんな寒さ。手足のような末端は、冷たくなりすぎて存在が薄くなる。
いつの間にか、遠ざけていた。始めなきゃ始まらないやる気も、そもそも始めるための元気が出ない。
ただ電車に揺られるように、時間が経つのに身を任せている。中身が、なくなってしまったような。
そもそも、中身なんて最初からなかったのかもしれない。
何もない空っぽで、詰まっているフリをして、ずるく、非情に、自分が楽しむために、誰のことも顧みずに遊んでいた。
近付いて傷付けるのなら、初めから近付かなければ良いと、それだけであれば良かったのに、どうしようもなく、近付かないことに耐えられなかった。
都合の良い状況になって、甘んじて受け入れて、結局何よりもむごい。
求めているのは柱。求めているのは毛布。求めているのは、存在。
どういうものが欲しいのかははっきりしているのに、でもそれを手にするだけの資格がないと、一体何を気にしているのだろう。
誰も知らない部分で、見ているのは自分だけなのに、それでも造るというのだろうか。
相補的に在りたいのに、ただどちらかだけにしか、一方的にしか在れないように感じている。
それは自分で、自分にも、他人にも、役割を設定してしまっているから。限界を設定してしまっているから。
世界は、自分を中心にだけ、回っているんじゃないよ。