黒い季節/冲方丁

黒い季節 (角川文庫)

黒い季節 (角川文庫)

まず何より、高校生でこれを書いたということがすごいと思った。自分が17、8の時のことを考えると、本当に同じ人間なのかなと悲しくなってくる。
読み始めてからしばらくは、世界設定についていけなくて何がなんだか分からないという状態だったのだけれど、それでも先を読みたいという気にはさせられていた。徐々にどんな世界なのかが明らかになるにつれて、あっという間に引き込まれた。
情景が文字から溢れてきそうな、そんな感覚を持つ場面が何度もあって、自分の今存在している世界から切り離されて、この本と自分だけの世界に閉じこもって向き合っているような、そんな風にのめりこんでいた。
とにかく面白かった。改めて、和風伝奇ものが好きなのだな、と。
暦とか、すごく気になる。