塩の街・海の底・クジラの彼/有川浩

塩の街 (角川文庫)

塩の街 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

クジラの彼 (角川文庫)

クジラの彼 (角川文庫)

有川浩の描く恋愛模様が、自分はすごく好きなのかもしれない。


塩の街は、あまりにも突飛過ぎる設定に、世界に入り込むのに時間がかかったけれど、一度入ってしまえば、塩の世界からなかなか抜けられなくなった。
自分の目の前で起こる出来事と世界の裏側で起きる出来事、それがまったく同じ事象であっても、受け取る印象が違ってしまう。
でもそれは訓練して何とかなるものだろうか。目の前で起こる出来事に、何とかしたいと思う気持ちはどうしようもないと思う。
ただ、目の前以外の出来事にも思いを馳せないといけない。


海の底は、「空の中」「塩の街」「海の底」の三つの自衛隊三部作の中でも一番リアリティーのある話だった。
その分描写の生々しさもより身近に感じられて、一番ハラハラしながら読んでいたと思う。
深海の生物は、その生態や特徴で分かっていることに簡単にアクセスできるのなら、ちょっと調べてみたいな。
未知が広がっているのは、とても魅力的だ。


そしてクジラの彼。恋愛短編集。
海の底がとても面白くて、その世界がそこで閉じてしまうことが寂しくて、番外編が入っているからとすぐさま手に取った。
他の話と関係の見当たらない、ほんとに短い話もあったのに、短編全てを楽しんで読めたのは、最初に書いたように有川浩の描く世界が好きだからなのだろう。
この本を読んで、改めて認識することができた気がする。


不器用だけど、情に厚かったり、まっすぐだったり、自分がなれたら良いなと思う理想との波長が合うようなキャラクターが中心になってるのが好きなのかな。