過去の記憶というのは
往々にして都合の良いもので


誰かが言った言葉
取った行動
表情までも
全てが自分のためにあったかのように感じてしまう


美化され都合の良いものとなったそれらは
逆に忘れさられている自分の反応をさらに隠す


彼の彼女のそれらの裏で
自分からのリアクションは何か


よくよく思い出してみれば
元々そんな意味ではなかったにせよ
自らによる都合の良い解釈だったとして
それをないがしろにするようなものばかりではないか


思い出したり
思い出すことができたりするものは
そんな記憶ばかりで


にもかかわらず
都合の良い解釈のまま
今の自分に取って都合の良いタイミングで思い返す
そして染み込ませる


感じるのは
冬の夜に堤防に立っているかのようで


たしかにそれは自分を支えてはいるが
それを利用して支えを作ってはいるが
いつかどこかで感じてしまうものがある