天才ガロアの発想力/小島寛之

天才ガロアの発想力 ?対称性と群が明かす方程式の秘密? (tanQブックス)

天才ガロアの発想力 ?対称性と群が明かす方程式の秘密? (tanQブックス)

教養向けの図書館をうろうろしてタイトルが目について借りた本。
今年度後期のガロア理論の講義の復習のつもりで読んでみた。
これがかなり分かりやすかった。
ガロアの定理の証明だとか、ガロア拡大だとか、そういうものを厳密にやったのが講義だったのだけれど、結局なぜ5次以上の方程式には解の公式が存在しないのかということを、いまいち理解できないでいた。
この本では2次方程式で解けるのはなぜかというところから書かれていて、「あの定理はこういうことを言っていたのか」という衝撃を何度も味わった。
完全にとまでは言えないけれど、方程式の解の公式について理解が深まった気がする。


意欲のある中学生なら読めることを目標にしているとあとがきで言っている通り、数式に嫌悪感がなくやる気のある人であれば、高校生でも読める気がする。
自分の中には公立の中学生高校生のイメージしかないのだけれど、意欲のある中高生ってどれくらいできることを想定しているのだろう。
今さらっと読み返してみれば、文字式の計算程度ができれば途中までは読めないこともないような気がする。
数学に興味のある人に薦めたいので、買っても良いのだろうなという気持ち。


ほんとは、この本で得たような理解は自習の際に身につけたり、あるいは人と議論したりして身につけるべきものなのだろう。
低次の具体例で確認するという、当たり前と言ってもいい作業をやらなかった自分が悪い。
具体例で実際にやってみることの大切さが身にしみた。
それにしても、この人の書く文章が自分にとってはとても分かりやすかったように思う。
他にも借りてみようかな。